2014年9月28日日曜日

書籍「ニホンミツバチが日本の農業を救う」を読んだ感想

「ニホンミツバチが日本の農業を救う」というタイトルの書籍を読んだ。


筆者自身とニホンミツバチとの体験を元に20年以上の記録が詰まっている。
読み物として親しみやすくニホンミツバチがより身近に感じられた。
ただ、タイトルにある「日本の農業を救う」は少し大げさ。
セイヨウミツバチが足りないので、イチゴ、メロン栽培で利用してみた程度の検証であり、農業全体でどの程度、どの規模感で期待できるかまでは踏み込まれていない。

筆者は「私の体験から見るニホンミツバチの生態」みたいなタイトルを提出したが、出版社側がよりキャッチーなタイトルにしたのではないかと推測(笑)

さて、ニホンミツバチが商売になるのかが個人的に一番の感心事ですが、やはりシビアな印象を持った。
過去記事、『養蜂は初期投資が少なそう』にも書いた表の一部も利用して、採蜜量の比が小さくなる理由を自分用にまとめる。


項目 ニホンミツバチ セイヨウミツバチ
群蜂数 数千~2万 2万~4万
採餌行動半径 半径2km 半径4km
蜜の価格比 セイヨウミツバチの4倍 1倍とする
群蜂数比 セイヨウミツバチの2分の1 1倍とする
採餌行動面積比 セイヨウミツバチの4分の1 1倍とする
採蜜量比 セイヨウミツバチの8分の1 1倍とする

採蜜量(恐らく1群当たりの採蜜量)を見ると、ニホンミツバチはセイヨウミツバチの8分の1しか取れないらしい。
この理由は、
群蜂数(1/2) × 採餌行動面積(1/4) = 1/8
なのだろう。

1つの蜂場に設置する巣箱の数を増やしてセイヨウミツバチと同じ個体数にし、さらにニホンミツバチは離れた4箇所に設置すれば、セイヨウミツバチと同量の蜜を期待できるのではと思うが実際にやられていないのかな?
そもそも、4箇所で場所を確保するのが難しいし、仕事としても手間になってしまうのか。

ニホンミツバチの蜜は1kg当たり1万円と見積もれるらしい。
それゆえに、農家へのニホンミツバチ販売、貸出しが進みにくいように感じた。
ミツバチの群を販売するということは、同時に内部にたまっている蜜を渡すことになるので、セイヨウミツバチの方が価格面で有利になる。
書籍でも触れられていたが、レンタルという形式で蜜は養蜂家の物とする契約なら少しは安く出来るのかもしれないがセイヨウミツバチの価格まで下げるのは難しいのではないか。

農薬による死滅の問題もあって、養蜂するエリアがやっぱり重要らしい。
農薬散布が行われる稲田や畑の周りでは、ミツバチが死んでしまったりするので、過疎が進み畑に野生化した菜の花が咲き誇る位の場所が良さそう。(人が少なすぎると生活しにくそうだなw)

あと興味深かったのが中国産の蜂蜜が安いために、オーストラリアの養蜂家も輸出用蜂蜜の収益で苦労しているらしい。
中国産の農作物は安いからなぁ。

外国産の蜂蜜と価格競争では勝てないから、今から日本で養蜂始めるなら中国の富裕層向けにニホンミツバチの蜂蜜を生産するのが良いように思った。