2015年10月2日金曜日

NHK受信料の裁判と放送法と憲法、契約について少し調べる

2017年12月6日 追記: 最高裁判所がNHK受信料を合憲と判断しました

違憲か合憲かの裁判だったため、2017年12月6日水曜日最高裁判所大法廷が開かれ、NHK受信料制度は「憲法に違反しない」と判決が出ました。(蛇足ですが、大法廷は水曜に開かれるのが通例だそうです)
ただし、契約は裁判の判決で確定した後で有効だそうなので、その部分だけはマシになりました。(NHKが申し込んだら自動で契約済みとなる判決もありましたから。。)
消費者が、NHKからの契約の申し込みを承諾しないときは、判決の確定をもって契約締結となり、(1)テレビなどの設置時期にさかのぼって支払い義務が生じる、(2)消滅時効は、判決確定時から進行するーーとした2審東京高裁判決を支持した。
NHK受信料合憲、男性側「大山鳴動して鼠一匹」「ネット同時配信で制度見直しを」

追記終わり。


NHKの受信料契約が合憲なのか違憲なのかよく議題になる。
それで、少し自分でも整理しようと思い調べる。

この記事「分かりやすい「NHK受信料裁判」のお話」が本当に分かりやすくて良かった。

基本的に受信料支払いに関しては、ほぼNHKの勝訴で裁判所は支払い、または受信料支払いの契約を命じる判決を出している。

NHKが敗訴した裁判は、NHKが偽造した契約書を理由に支払いを請求した裁判で、契約書無効を言い渡された裁判。(NHKが裁判で「完敗」 全国で受信料“不払い一揆”の恐れも

2013年10月30日、NHKが契約を申し込んだら契約が有効という判決(NHK勝訴)

NHKの申し込みから,承諾に通常要する相当期間(長くとも2 週間)を経過した時点で受信契約は成立し,NHKは,承諾の意思表示を命じる判決を求めることなく,受信契約に基づく受信料の支払いを請求できるとの判断 を示した。
NHKが申し込んで2週間経ったら自動的に契約が成立するという画期的な判決。。

2013年12月18日、両者の合意があったら契約が有効という判決(NHK勝訴)

この判決は、時々「NHK敗訴」と書かれたりするがそれは間違い。
判決自体は受信料支払いの契約締結と支払いを命じるものなのでNHK勝訴と考えるべき。
ただ、10月に出た判決を一部否定する判決だったため騒がれた。

J-CASTニュースの記事(NHK受信契約には視聴者の承諾必要 東京高裁で異なる2つの判断、どうなる?)から引用。
「NHKの契約申し込みと、受信者の承諾の意思が一致しなければ受信契約は成立しない」との判断を示した。
両者の合意がなされて初めて契約成立するという判決。


以下、法律のお勉強。

受信料請求の元になる放送法について

放送法は次のURLに全部書かれているようだ。
長い!ので、NHK裁判で争われる契約の部分だけ抽出。

(受信契約及び受信料)
第64条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第126条第1項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
3 協会は、第1項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 協会の放送を受信し、その内容に変更を加えないで同時にその再放送をする放送は、これを協会の放送とみなして前3項の規定を適用する。
 なるほど。総務大臣が認めた受信料支払い契約をテレビを持っている人は協会(NHK)と契約しなければならないと書いてある。
なお、この法律を違反した場合の罰則は無い。罰則が無い理由は諸説あるが、「契約の強制は悪」というのが有力。

それでは続いて、放送法と対立する憲法について。

放送法と対立する憲法について

初めて憲法読んだ。こんなに短くて読みやすいとは!(笑)

放送法が憲法のどの条文に合わないかを検討しているサイトがあったので参考にする。
ちなみに、放送法が違憲ではないかと裁判したケースでは全て合憲との判決が出ているそう。

1.憲法19条

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
テレビを持つならばNHKへの支払いが強制される、つまり、支払いを拒否するならテレビを持つなということなので、思想の構築において重要なテレビの所持を否定することが間違っているという考え方。
うーん、今はネットがあるから思想の自由においてテレビが必須ではないかな。

2. 憲法25条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
テレビが文化的な生活に必要なものであり、契約を強制されるものではないという考え方。
これは確かにそう思う。日本の文化や流行をテレビ無しに語ることは出来なそう。
お金払えるなら払って文化的になってよっていえばそれだけだけどね。

3. 憲法29条

財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
すまん、私の解釈では憲法29条が何を言っているのか良くわからない。
To:将来の自分へ、時間があるときに別途調べる。

4. 憲法30条

国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
納税の法律に従えということ。放送法は納税の法律じゃないから無効であるということかな。
確かにそうかもしれない。国会放送は視聴率取れないけど必要なものだと思うし、放送税とかにしてテレビを購入した国民から均等に徴収すれば分かりやすい。


この辺りが、上のサイトで書かれてた。
最後に、憲法では無いが近代私法の原則というものも見たのでメモ。


近代私法の三大原則について

まず、私法とは「民法・商法等、私人としての利益や関係について規定した法律。」だそう。一般人の経済的な活動や利益を守る考え方の基準。
さて、近代私法という近代国家が重視する考え方があるそう。(wikiはこちら

それが次の3つ。

  1. 権利能力平等の原則
  2. 私的所有権絶対の原則
  3. 私的自治の原則

今回はこの3つ目の私的自治の原則に着目する。この中にさらに、「契約自由の原則」というものがあり、
契約自由の原則: 契約の締結・内容・方式を国家の干渉を受けず自由にすることが出来る。具体的には以下の4つを意味する。
契約締結の自由
相手方選択の自由
契約内容の自由
契約方法の自由(形式の自由) 
だそうだ。
「契約は国家の干渉をうけるものではない」という考え方に対し放送法は明らかに反する。
要は日本の法律は近代になってないだけでは。。


ちょっと理解が進んだ。
長くなったので今日はこの辺でお開き。
オツカレサマデシタ