2015年11月7日土曜日

農業を成長産業にするために廃止された減反政策と新しい保障制度を調べる

2018年に減反政策が廃止になることが、TPP参加を希望していた2013年に発表された。
減反は学校の教科書にも載っているくらいに古く広く知られている制度なのだが、具体的にどの程度の保障があるのか知らなかったのでせっかくなので調べた。

ちなみに、最近の日本だと10アール当たりの米の収穫量は530kg位らしい。
一枚(まい)の田んぼからお米はどれくらいとれますか?

減反の歴史

まずはwikiの「減反政策」「食糧管理制度」を見て歴史の流れを確認。
おおまかにまとめると次のような感じ。

1942年、食糧管理法成立。

米を政府が買い取ってから市場に流通させる。
貧しい家庭でも米を安価に買えるよう売値を下げていたため逆ざやであり後に財政を圧迫する。

1970年頃、余剰米が問題になる。

「新たに田畑を作ることを禁止」
「政府を通さず米を販売できる自主流通米制度開始」
「水田の一定割合を転作したら保障金を出す転作奨励金制度開始」
の3点を柱にする生産調整(減反政策)が始まる。
このとき「転作する面積」を政府が指定し始める。
減反政策に違反すると、保障金が貰えない等の制裁を受ける。

1987年、生産者米価の引き下げで逆ざやを解消。

1994年、食糧管理法を廃止し「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」通称「食糧法」成立。

米の価格は市場に任せる。
政府の米買い入れの目的は備蓄になり、大幅に買い入れが削減された。
減反政策は「転作する面積」から「生産できる数量」に変更。


他にもすぐに廃止になった政策とかややこしい流れがあるみたいだけどこの程度の理解でいいかな。

1994年当時、品質の悪い米より美味しい米を国民が求めるようになっていて、食糧管理法廃止直前には自主流通米は政府管理米の2.5倍、自由米(ヤミ米)は政府管理米の0.3倍を占める状況になっていたそう。


現状の保障と減反廃止後の保障

保障制度が分かりやすくまとまっていたので、東洋経済オンラインの記事「減反廃止は名ばかり、迷走を続けるコメ農政」から図を引用します。


減反は廃止というのは本当で今までの「作りたいのに作れない」という問題点を解消しているので、東洋経済オンラインの記事タイトルはPV稼ぎのための釣りタイトル。最近、「東洋経済オンライン」って名前見るとクリックしたくなくなってきた。。

上の図に出てくるそれぞれの保証は10a(1000m2)当たりの金額。
それぞれの制度は次のようなもの。

戸別所得補償(農業者戸別所得補償制度)

2010年から施行され始めた制度。当時は民主党。wikiから引用。
米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたね等の、販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物について差額交付するとともに、麦・大豆等への作付転換を促進、増産を計るものとなっている。
同制度に参加するすべてのコメ農家には、米価水準にかかわらず、全国一律の定額補償が10アール当たり1.5万円が支払われる。対象農家は約180万戸とされる[2]。農林水産省は申請件数120万戸を目標としていたが、2010年6月時点での申請は、すでに130万件を突破していた[2]。
米農家は一定の保障がもらえるとはなんとお得な。。 ただ外国では比較的一般的な保障制度のようで、同じwikiのページに次のような記載があった。
 直接支払いによる農業保護政策は、すでにEU諸国アメリカで広く実施されている。フランスでは農家収入の8割、スイスの山岳部では100パーセント、アメリカの穀物農家の収入は5割前後が政府からの補助金だという。
農林水産省の申請見積もりは大幅に見誤っているが、世界基準から外れた政策というわけでも無さそう。

転作補助金

水田を特定の畑作に転作する場合に出る保障金のようだが、wikiとかが無くてちょっと自信ない。
例えば、水田全部を転作した場合、何年間補助金もらっていいの?とか分からなかった。水田を全部畑に変えて10年たっても"転作"補助金もらえるとも思えないんだが。
とりあえず、水田持っている人が一時的に転作するときに受けられる制度と認識した。

直接支払制度

民主党の戸別所得補償から対象者と金額を変更した「直接支払い」の新しい制度。
畑10aなら2000円の保証、1haなら2万円。うん、100ha畑持ってたらそれだけで生活できるw
海外の先進国では農業への直接支払い制度が進んでいるらしいので、こういった税の使い方でも良いのではないかと思う。
2011年にこんな記事が出てた「なぜ、アメリカやEUのように「直接支払い」に移行できないのか?」。



なんとなく整理できたつもり。