2018年5月6日日曜日

日本より国土の小さいオランダやドイツが農作物の輸出大国の理由

日本は農作物の輸出が少ないが、日本より国土の狭いヨーロッパの国が農作物の輸出大国になれる理由を調べてみた。

結果、次の2点が大きな要因なようだ。

  1. 国土の大半が平地
  2. ブランド力

農作物の輸出ランキング

平成28年に農林水産省が公開した「農林水産物・食品の輸出の現状」という資料からグラフを引用する。




第一位がアメリカなのは順当な感じがするが、第二位がオランダが入り、第四位ドイツ、第五位フランスと国土面積が大きくない印象の国が上位に入っている。

上記資料には、オランダと日本、イタリアと日本を比較した表も乗っていたのでそれが次の物である。





日本は農地面積の割合が小さいことが分かる。

平地の割合比較

JICE 国土技術研究センターが公開している「山が多く森林にめぐまれた国土」というページから、国土を高地部分に色を付けた図を引用する。
この図を見ると、やはり日本はまとまった平地が確保しにくいというのが分かる。日本で一番まとまった関東平野に比べても、イギリス、ドイツ、フランスははるかに大きい平地を持っている。

日本の森林面積は約25万平方km(=2500万ha)あります。国土の面積は37万8000平方km(=3780万ha)ですから、国土のおよそ3分の2が森林です。森林のうち約5割が天然林、約4割が人工林、残りが無立木地、竹林などです。
とのこと。平地に存在する森林もあるだろうが、日本の場合はほぼ山に存在すると考えた。平地が少ないために、日本は平地の人口密度がヨーロッパに比べ異様に高くなっているらしい。

ここでは関係ないが、森林の4割が人工林っていうのもすごい勢いで木を使ってたんだなと感じる。木が必要→山から伐採→木を植える→育つ→伐採、を繰り返す予定だったはず。今は木材の価格が下がってしまい、人工林自体が負債になっている感すらある。あと、毎年日本人を苦しめる花粉は人工林が原因であり、もはや公害だと思う。

ここまでのまとめ

農作物の輸出が盛んなヨーロッパの国々は豊富な平地を持ち、それを農地として活用していることが分かった。また、ヨーロッパの消費者に低コストで届けられるということもあり、農業が発展してきたはず。

さらに、地理的表示(GI)保護制度を活用し、フランスはワインを、イタリアはチーズを高付加価値なものとして輸出できている。ブランドは一朝一夕で作られるものではなく、やはり歴史的な影響が大きいと感じる。

日本は何を輸出したら有利か

再度、「農林水産物・食品の輸出の現状」から引用する。2015年の日本の主要な輸出品目は次のようになっている。


日本酒、醤油、味噌などは、日本ならではの商品なのでブランド力がありそう。元々、日本は島国であったため排他的経済水域はかなり広く、かつ、漁場としてもすぐれている場所が多く、水産物はもっと輸出産業に育ててほしい。

何を輸出するのが良さそうかなと考えてみたが、「山」を必要とするモノを輸出出来たら有利に思う。ぱっと思いついたのは炭。以前、「備長炭とかの「炭」について調べる」と記事を書いたが、日本国内ですら備長炭が不足している現状がある。また、今後、発展途上国が経済的に豊かになると、日本人が現在食しているような美味しい料理を食べるようになり、その時に高品質の炭が必要とされるはずである。(私は炭の違いで料理の味がどのくらい違うのか分かりませんがw)

もはや、公害となっている杉の人工林を、需要のある有用な木に置き換えて輸出品目にできればよいのにと、ぼんやりと思った。